顎関節症の治療について
アゴの痛みや違和感を改善する顎関節症の治療
顎関節症になると、お口を開けるときに痛みや違和感を感じたり、かたい物が噛みにくい、アゴが疲れやすいといった症状が現れることがあります。
しかし、多くの場合は適切な診察や検査を受け、歯科医師による標準的な治療やセルフケア（自己管理）により、改善することができます。
顎関節症の代表的な症状
- アゴが痛む（顎関節痛・咀嚼筋痛）
- お口が開かない（開口障害）
- アゴを動かすと音がする（顎関節雑音）
顎関節症は、これらの症状や障害の包括的な診断名とされています。
しかし、虫歯や歯周病をはじめ、アゴの関節や咀嚼（そしゃく）筋に関する疾患、頭痛や神経痛などの口腔顔面痛、精神疾患、心身症なども同じような症状が現れることがあります。
そのため、顎関節症以外の疾患・障害の鑑別診断を行なった後に、顎関節症を対象とした詳細な診察・検査を実施し、診断します。
顎関節症の原因
以前は「噛み合わせの悪さ」が原因と考えられていましたが、現在は「多因子病因説」が支持されています。
日常生活を含めた環境因子・行動因子・宿主因子・時間的因子などが積み重なり、その人の持っている耐久力を超えた場合に発症するという考え方です。
| 日常生活を含む環境因子 | 緊張する仕事・多忙な生活・対人関係の緊張 など |
| 行動因子 | 硬固物の咀嚼・長時間の咀嚼・楽器演奏・長時間のパソコン業務・単純作業・重量物運搬・編み物・絵画・料理・ある種のスポーツ など |
| 習癖 | 睡眠時・覚醒時の歯ぎしりやくいしばり・日中の姿勢・睡眠時の姿勢 など |
| 宿主因子 | 噛み合わせ・関節の形態・咀嚼筋構成組織・疼痛経験・パーソナリティ・睡眠障害 など |
| 時間的因子 | 悪化・持続因子への暴露時間（さらされている時間）など |
顎関節症の治療
歯科医院での治療
- 習慣や癖、姿勢や動作などの日常における生活習慣の確認・指導
- 肩・首・アゴのストレッチ体操やセルフマッサージ法の指導
- 鎮痛剤や筋弛緩剤など症状に合わせてお薬を投与
- 歯ぎしりやくいしばりが原因と考えられる顎関節症の場合、治療のためのマウスピースを作製（スプリント療法）
スプリント療法
マウスピースを作製し、就寝中に装着する「スプリント療法」です。
スプリントと呼ばれる顎関節症専用マウスピースを装着し、噛み合わせの位置を変えます。これにより、歯ぎしりやくいしばりを改善したり、負担を分散し、顎関節症の症状を軽減します。
ホームケア（セルフケア）
- 就寝時など歯科医師の指示に従いマウスピースを装着する（スプリント療法）
- 痛みがあるときはやわらかい物を食べるようにする
- 痛みを軽減させるために冷やす
- 肩、首、アゴのストレッチやマッサージをする
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